“暮らし”と“政治”のカンケイ

選挙でどこに入れるか、みなさんはどうやって決めているでしょう。野党は頼りないみたいだし(イメージ)、やっぱ自民党しかないか・・・などという方もいるでしょう。その何気ない選択が、回り回って私たちの暮らしや人生に大きな影響を与えます。

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生活が苦しい、老後が不安、仕事がきつい、将来の展望が描けない・・・・そんな私たちの悩みの多くは、自分の努力や運だけでなく、実は社会の“しくみ”や政治の結果でもあります。

たとえば税金。2014年に消費税を8%に上げた安倍政権は、一方で法人税減税や研究開発減税などで大企業の負担を減らしてきました。庶民の暮らしが苦しくなる一方で、大企業の業績は好調です。

ハケンなど非正規雇用の増加も、政治の結果です。派遣は以前は通訳など限られた職種でしか認められていませんでしたが、自民党のリードで法律が変わり、多くの業種に拡大。いまや働く人の4割が非正規です。こうした政策で、貯蓄ゼロの世帯が半数にもなり、ひとり親世帯の貧困は先進国で最悪になっています。

年金・社会保障のカットも大きな問題です。自公政権が強行した年金カット法では、国民年金で月収6万円の人が、年に4万円も支給額を減らされます。介護保険も「要支援」高齢者への支払いが一部なくなる上に自己負担割合がアップ。生活保護基準も引き下げるなど、庶民の暮らしの安心はどんどん奪われています。

戦争も、もほや他人事ではありません。安倍さんが武器輸出を解禁したため、日本は戦争すればお金が儲かる国になりつつあります。安保法制ができたので、トランプ大統領が北朝鮮を攻撃して戦争すれば、自衛隊もつきあわされて日本は戦場になるかもしれません。

アニメ映画「この世界の片隅に」の主人公すずは、当たり前の幸せをいつの間にか奪われていきました。そんな時代が再来するかもしれません。政治に無関心な人も、その生活や人生は、“政治”に大きく左右されるのです。戦前と違い、今は私たちが主権者。望む未来は、私たちが選ぶことができます。

 

暮らしの安心を支える“憲法”

憲法についてはどうでしょうか。安倍さんはいろいろなところで、「憲法改正が自分の使命だ」と発言します。

社会保障があり、無償で義務教育が受けられ、最低賃金が定められ、ネットで好きなことが書けるのも、すべて憲法の規定があるからです。そして、私たちが自分たちを幸せにしてくれる政治家を選べるのも、憲法で国民主権が定められているからこそです。意識しにくいけれど、私たちの日々の暮らしは憲法によって守られています。国会も憲法に違反する法律はつくれません。(安保法制は、憲法違反という声が強いのですが)

憲法は、国民が守るべき通常の法律と違い、政府や政治家が守るべき基本法です。政府や政治家が暴走しないよう、主権者である国民が憲法でワクをはめているわけです。

 

個人のための国?国のための個人?

自民党が掲げる改憲案では、こうした考え方を捨て、自分たち政治家が国民に守らせる憲法に変えて、国民の自由や人権を制限しようとしています。たとえばデモで意見を表明する自由も、政府が「公の秩序を乱す」とみなせば制限されるようになります。さらに「国旗・国歌の尊重」や「家族の尊重」が国民の義務とされるなど、憲法が国民を縛るようになるのです。極端に言えば、たとえば離婚を禁止する法律も作られかねません。全体として、個人の幸せのために国があるのではなく、国のために個人がいるという考え方に変えようとしているのです。

また自民党の憲法案では、自衛隊を「軍」にしようとしています。有事の際に国民の自由が制限される「緊急事態条項」がつくられたりすれば、実際に戦争できる体制が整ってきます。戦後禁じられてきた武器輸出も解禁されました。経済のためには戦争が必要だと考える財界人もいるくらいです。米軍との一体化が進んでいるので、米軍の下請け的な戦争になるでしょうが。

 

自民党は変わってしまった

年配者の中には「戦後ずっと自民党が日本を引っ張ってきたのだし、とりあえず自民党にまかせておくか」と思っている人もいます。しかし、今の自民党は昔の自民党とはまるで違うのです。福田康夫、古賀誠、亀井静香、野中広務といった自民党の大物たちも安倍政権の暴走を批判しています。(「“安保”元自民党の重鎮ら安倍政権を批判」)

自民党は、以前は党内に穏健なハト派(経世会、宏池会)と、わりと右翼的なタカ派の流れ(清和会、森派)があり、どちらかというとハト派が「保守本流」と呼ばれ主流でした。しかし小泉首相以降はタカ派が党内を席巻し、そのバランスが崩れてしまったのです。今の安倍政権は閣僚25人のうち22人が「神道政治連盟」に、16人が右翼的団体「日本会議」に所属。安倍首相自身も統一教会との関係が取りざたされるうえ、連立を組む相手は創価学会が支える公明党と、なんだか政権全体が宗教カルト右翼団体化している感じです。(「参院選は「神頼み」 第3次安倍改造政権を支える宗教」)

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よく考えて、投票先を選ぼう

いまの安倍政権の政策には、「ホンネの目的=改憲」と「人気取り政策」があります。安倍さんが本当にやりたいのは、祖父・岸信介元首相の念願だった憲法改定。岸さんは、戦前に満州国建設に関わるなど、まさに日本の中枢にいる特別な存在でしたが、敗戦で「A級戦犯」とされました。戦争で苦しんだ一般国民は平和憲法を歓迎しましたが、岸家にとっては敗戦は屈辱でしかなかったのです。だから安倍さんは憲法を変えて、戦前のような国家体制にししたいと願っているわけです。大企業経営者や富裕層の多くも、やはり特権を独占したいと思っており、利害が一致しています。選挙前に人気取り政策を打ち出すのは、改憲を実現したいからだと思われます。

2017年に行われるかもしれない衆院選で、与党は衆参の3分の2以上をあらためて確保して憲法改定できる時間を確保したい。それは安倍さんの、祖父の時代からの悲願でもあります。でも、明日の暮らしも不安な国民が、そんな悲願や妄想につきあう筋合いはありません。本当に国民のためになる政治をしてくれる政治家を選ぶことが大切です。

公開日:
最終更新日:2017/04/25